2008年 ASPワールドツアーのニューフェイス達
2007-12-23 更新

その中でも圧倒的な注目を集めているのは、二人のヤングガン、ジョーディ・スミスとデーン・レイノルズでしょう。実はこの二人、全く対照的な顔を持っています。
まず、ジョーディの方は南アフリカという土地柄、あまり裕福ではない家庭で育ったこともあり、勝負に対してハングリーで、負けたヒート後には感情をあらわにすることもしばしば...。サーフィンは基本に忠実で、安定したスコアを出します。なおかつ新世代の動きをするため、コンスタントに勝てるコンテスト向き。ジュニア、WQS共にトップの成績を残し、ルーキーイヤーからの活躍が期待されています。
一方のデーンは、恵まれた環境に育ったものの、早くからコンテスト自体に疑問を持ち、一時はWQSを回ることを中断してサーフムービーだけに力を入れていました。WQSに復帰した2007年は順調に成績を延ばして2位でフィニッシュしましたが、ジョーディに比べるとまだムラがあります。
デーンの場合は、ハングリー精神をむき出しで戦うのではなく、コンテストをゲームとして見ており、あくまでもクール。ヒート中でもフリーサーフィンの延長というライディングをするため、決まればハイスコア!しかし、ダメな時はとことん落ちてしまうハイリスクハイリターンという印象があります。
今シーズンのWQSの成績を見てもジョーディの4勝に対してデーンは0勝。実力はツアーのトップ選手と比べても引けを取らないだけに、上手くリスク管理をすることが今後の課題になりそうです。
すでに完成された力を持つジョーディと、秘めた可能性を持っているデーン。まずはルーキーが上位に入ることが多いゴールドコーストで真価が試されることになります。
この二人の他にも、ポルトガル出身で初のクオリファイを果たしたティアゴ・ピレスや、スパニッシュのアリツ・アーランブールー、フレンチのミカエル・ピーコンの3人のヨーロピアンが注目されています。2007年のルーキーとして素晴らしい成績を収めたジェレミー・フローレスと共にオージー、US勢が大半を占めるツアーに新たな風を吹かせてくれることを期待したいですね。
また、2007シーズンで残念ながらリクオリファイを出来なかった選手は全部で13人。その中にはフランス戦で2位に入った南アフリカのグレッグ・エムズリーや、同じフランスで開催されたWQS最大のイベント、スーパーシリーズで優勝したショーン・キャンスデル、田原プロでの優勝が記憶に新しいゲイブ・クリングの姿も...。たとえ輝かしい成績を残しても、コンスタントな強さを見せなければツアーでは生き残れないという厳しい現実が分かります。
ベルナルド・ミランダ、ラオニ・モンテイロの2人のヤングブラジリアンも、ツアーの厳しさに慣れる前に枠から外れることになりました。
その13人の中には引退する選手も含まれます。オッキーについては先日のマスターズ開催中に詳細をお伝えしましたが、今年はその他にも2人の選手が引退を表明しています。
その一人のミック・ロウは、18歳からツアーをスタートさせ、30歳になった今シーズンまで12年のキャリアを持つベテラン。見た目とサーフィンのギャップがあれだけ大きいサーファーは珍しいでしょう。ミックは太り気味!?とも言える大柄な身体をものともせず、小波からタヒチやパイプラインのようなビッグバレルまでを軽やかに乗りこなすツアーのダークホース的存在でした。12年間で優勝は3回。その中でも2004年に自国オーストラリアで獲得したタイトルが一番嬉しかったと話していました。
もう一人の意外な引退者はルーキーのジョシュ・カー。ジョシュはツアーのメンバーになる以前からエアーのスペシャリストとしてメディアで注目を浴びていたサーファー。デビュー初戦のゴールドコーストではローカルナレッジを生かして5位に入賞しましたが、カリフォルニアで9位に入った他はラウンド3以上に進めず、34位という結果に終わりました。彼の実力ならWQSから再びクオリファイすることも可能ですが、ツアーでのプレッシャーやストレスが予想以上だったとして早くも引退を決意。寛大なスポンサーの元、今後は雑誌やサーフムービーなどのメディアが彼の主な舞台になるそうです。
最後に今年9Xを逃したケリー・スレーターは、マスターズでのインタビュー中に来年はスポット参戦に切り替えるというコメントを残していますが、彼の場合はシーズンインしてから気持ちが変わることが多いので、まだ確定的ではありません。
photo: ASP Covered Images